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松下元夫(まつした もとお)さん
本名/同じ
1935年(昭和10年)、大阪市港区生まれ。

関西学院大学文学部美学科卒業後、神戸新聞社入社。編集局に籍を置きながら現代絵画の世界へ。

二紀展をはじめ国内・国外の芸術展に出品し、数々の賞を受賞。
近年の代表作である「音(ね)・ひびく」シリーズは時間の断片が具象・抽象あい交えてキャンパス上に展開されているとして大きな評価を得ている。

07年度神戸市文化賞を受賞。
現在神戸二紀副支部長。
また夫人の玲子さんも美術仲間で夫婦展も開く。
○まずは神戸市文化賞の受賞おめでとうございます。
●ああ、いえ、まぁ…、お恥ずかしい…。
○国内外で多くの個展、美術展に出展、美術団体の中心的存在で後進の指導にも尽力されたということですね。
●(にこやかに微笑むのみ)
○簡単な生い立ちをお聞きしていいですか?
●大阪で生まれました。父は表具師だったんですが、太平洋戦争で仕事がなくなり、一家で北海道開拓団に加わったんです。行先はサロマです。当時小学生。途中、秋田で天皇の「玉音放送」を聞いたのを覚えています。
○へえ…。
●水道も電気もガスもないところ。井戸に石油ランプの生活です。馬や羊、鶏の世話、スキーなんかも自作してました。3、4年いたのかな。結局引き返すことになりますが…。
○小学生の頃に北海道の原野生活ですか…。
●で、兵庫県の三田へ換地することになります。三田で中学、高校へと進みました。
○美術とのかかわりもこの頃ですか?
●うん。父が表具師として日本画の表装をしてましたし、兄は漫画を描いてました。その影響で絵は常に近くにありましたね。私自身は有馬高校の美術クラブで始めてデッサンを習いました。
卒業後、神鉄の駅務員になり改札などをやってたのですが、勤務体制が24時間制で、空いた時間がまとまって取れるんです。この時間を使って関西学院へ入学しました。
○若さゆえのパワーですね。
●文学部に美学科があって、そこで日本美術史を学び、クラブ「弦月会」で絵も描きました。
で、卒業とともに職場も神戸新聞社に変わり、編集局整理部図案課に配属されました。
○へんしゅうきょくせいりぶ………?
●編集局整理部図案課!。紙面体裁を決定づける部署です。構図を決め、カットはもちろんレタリングなどを描くのです。今ではコンピューターですけどね。この仕事は定年まで続きます。
○新聞社でデザイン的な仕事をこなしながら一方で現代美術と取り組まれたわけですね。二紀展とのかかわりは?
●1960年だから神戸新聞入社の2、3年前かな。東京都美術館、二紀展初入賞でした。関学在学中ですよ。
○以後、第一回兵庫県美術祭招待出品、神戸二紀展知事大賞、ハワイ文化芸術展、米国巡回展、シンガポール文化交流展、えびら賞受賞、韓日合同美術展など……
●なに見てるの?
○あ、いえ、ここに先生の年表があって…
●あはは。マ、そんなのはね。

と、ここで奥様が珈琲をもって登場。

○あっ、恐縮です。どーもどーも。あ、奥様も個展されてますよね。
●あとでお見せしましょうか。
◎わたしのは別に…
○はい。是非お願いします!。
(後にずうずうしく奥様のアトリエまで入り込みました。右の写真→)
○えーっと、1960年から以後毎年個展や国内外美術展に出品されてます。
では先生の近年の代表作「音(ね)・ひびく」シリーズについてですが、共通するのは白っぽい背景と層のような塊り…

●うん。「土」であり「層」ですね。
○地球の断片?
●そんなふうに見ていただくと面白くなります。
例えば下の方の化石や上に封印した携帯電話の基盤…。キャンバスは時空なんです。
○化石とか新聞紙や震災で剥がれた木片などが張り込まれていて、初めて見たときはわけが分かりませんでした。ただ壮大な何かは感じました。
●時空・宇宙空間、そして生のはかなさ…
○…壮大なはずです。
●ほんの少しでも何かを感じていただけたら画家として本望です。美術は結局、描くほうも鑑賞する方も観察力が基本で、それを養うと本来見過ごしていたものが見えてきたりします。そのほうが人生楽しいでしょう。
○わかるような気がします。美術館にいってもサーッと流し鑑賞するクセが付いています。何かを感じさせる作品を見つけたら時間を忘れて見入ることをしないと勿体ないですね。
●現在、東灘でデッサン教室をやってますが、うまく描くテクニック以前に「観察する力」を力説しています。見る力を養うことが第一歩ですから。

○最後に今年の展示会予定をお聞きします。
●一番近いのは3月30日(日)から4月6日(日)まで「神戸二紀展」が原田の森ギャラリーであります。以後は決定しだい「関西二紀」のホームページに掲載しますのでご覧下さい。
○楽しみにしています。今後いっそうのご活躍をお祈りします。
本日はお忙しい中、ありがとうございました。

この後、松下元夫さんが「禁じられた遊び」(スペイン民謡・愛のロマンス)をギターで弾いて下さいました。その旋律は、なぜか松下さんが幼少期過ごされた北海道開拓村の情景を私なりに想像させるものでした。
松下絵画の輪郭がぼんやり見えたような気がして…ちょっとセンチメンタルな帰宅となりました。

インタビュー 2008年2月4日(月) 松下氏自宅アトリエにて

関西二紀のホームページはこちら

音・ひびく Asturias  2006年
北海道常呂郡佐呂間町浪速小学校卒業写真
上段、左がご本人です。
自宅二階のアトリエ
「土の香り」をテーマに
こちらは玲子夫人のアトリエ
音・ひびく GIZA  2007年
愛用のギターがいつもそばに…

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